きゅうにしおおあしむらのぞくしんしゅう
旧西大芦村の俗信集
国内
流言・風説
- どんな話か
- 妊娠・出産・葬送から年中行事、痛みや目の病を治す小祠まで、旧西大芦村に伝わる幅広い禁忌と俗信の数々。
- 細部
- 旧西大芦村には暮らしの節目ごとに数多くの俗信が伝わっている。妊娠中の女性は柿の木の下をくぐったり、柿の実を口にしたりすることを避けねばならないとされ、身重の間に葬式に立ち会うと生まれてくる子の肌に赤い痣が浮かび、逆に火事を目にすると黒い痣が現れるとも言われた。へその緒は保存しておき、命にかかわるほどの病にかかった際にはそれを煎じて子に飲ませるとよいとされていた。葬送に関しては、烏が鳴くのは死者の予兆であり、枕元で名を呼ぶと死者が戻ってくる、死者の腹には刃物を置き、猫がまたぐと化けるのでこれを避けるとされ、墓場で転ぶと三年しか生きられないとも語られた。山仕事をする人は山の神様を憚って汁かけ飯を口にしてはいけないという禁忌もある。正月の三が日には朝にオカンイモと小豆飯、夕にソバを食べる習わしがあり、オカンイモは鳥の出汁に大根・人参・ゴボウ・ハネギ・里芋を加えて醤油で仕上げたもので、仏様や大神宮様に供えたあとご飯に入れて粥にして食べると疫病神が寄りつかないとされた。年中行事にまつわる俗信としては、雷が鳴るとカユカキ棒を囲炉裏で燃やして雷除けとし、小正月のドンド焼きで焼いた団子を口にすれば病を防ぎ、七夕に男女の神が会えば伝染病が流行るが雨で川の水かさが増せば会えずに済むともいう。ほかに、足の病には足王さんの小祠に、目の病には上沢氏の家の前の薬師堂の水にすがるという民間療法、丑寅虚空蔵の氏子はウナギを食べると子の背にその形が現れるという禁忌、大霜の三日目は雨になる、カジカが石を飲み込むと大水が出る、庭に百合を植えると病人が絶えないので忌む、日光の領分であった名残で猫にノミがたからないといった土地に根ざした言い伝えも数多く残っている。
- 広まり方
- 1981年の『民俗採訪』所収、国学院大学民俗学研究会「栃木県鹿沼市旧西大芦村」、および1974年の『粕尾の民俗―栃木県上都賀郡粟野町旧粕尾村(下粕尾は除く)―』所収「三 人の一生」「五 生産労働」「七 信仰」(東洋大学民俗研究会)に記録がある。
- 地域
- 栃木県鹿沼市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ