たつごうのしをつげるまぼろしのそうれつ
龍郷の死を告げる幻の葬列
国内
流言・風説
- どんな話か
- 占いの的中や幻の葬列、火の玉など、死を予告する複数の前兆が語られてきたという記録。
- 細部
芦徳のコートリ浜に住んでいた女のユタは、よく占いを的中させることで知られていた。ある時、墓穴を掘っている人々の姿を見て、某家で近いうちに弔いがあるだろうと予言したところ、間もなくその家で実際に急な葬式が出て、ユタが見た顔ぶれがそのまま墓穴掘りに当たったという。明治四十年ごろには、誰からともなく「人が溺れて死んだ」という噂が広まり、皆が慌てて戸外に飛び出したものの、実際には誰も死んでいなかった。
ところがその二、三時間後、身重の女性が足を踏み外して大きな水たまりに落ち、自力で這い上がれずそのまま亡くなってしまい、村人は先ほどの噂こそが死型だったのかと語り合ったという。一八八〇年から九〇年ごろには、松明や紅白の銘旗を先頭に棺を担いだ葬列の幻が見えることがあり、これが現れると必ず実際の死者が出たと伝わる。一九〇〇年ごろには、村はずれの山近くから青い火の玉が浮かび上がり、長い尾を引きながら大勝の方角へ飛んでいくのが見られ、それが現れた場所にはちょうど死の床についている人がいたため、これは死型だと噂された。当人はその後十日ほどで息を引き取り、火の玉は実家に別れを告げに訪れたのだろうと言われ、実家でも足音や火の玉が確かに見られたという。
- 広まり方
- 旅と伝説 1930年掲載、岩切登「死を中心とした奄美大島の実話(一)」に一連の記録がある。
- 地域
- 鹿児島県龍郷町
- 年代
- 明治時代
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ