やめしのくらしのきんきとねがかけ
八女市の暮らしの禁忌と願掛け
国内
儀式・遊び
- どんな話か
- エナ甕や婚姻・出産・葬送・年中行事などにまつわる暮らしの禁忌や願掛けが、星野村を中心に数多く伝わる。
- 細部
八女には暮らしの様々な場面にまつわる細かな言い伝えが数多く残っている。出産後に納めるエナ(胎盤)を収めた甕は、蓋を開けて見てしまうと目が潰れると恐れられていた。嫁入りの際には婿の側が着物一式や酒、茶を届けるが、上等な茶を持たせると茶葉が入れ替わるようにいずれ嫁も家を去ってしまうといわれ、あえて質の劣る茶を選んで持たせる風習があった。出産にまつわる戒めも多く、安産を願う祈願に出向く途中で僧侶や眠っている子どもに行き会うのは良くないとされ、産の神である箒をまたいでしまうと出産が重くなるとされた。
後産を埋める場所を誤ると、一生その子に祟るとまで言われた。葬送の場面では、近くの大木でカラスが不気味に鳴くと死者が出る前触れとされ、死者の体を猫が跨ぐと起き上がってしまうと恐れられた。年中行事にも独自の作法が伴い、正月のサギッチョ(左義長)の火で焼いた餅を竹の先に刺して食べれば一年病気をせず、その火を家に持ち帰って竈にくべれば火事を防げるとされた。また正月十六日と十二月十六日は山の神が山を見回る日なので、山に入ったり木を伐ったりすると怪我をするとして忌まれた。
イエドウ様(イワイ堂)という祀り場ではイボ取りを願うとよく効くとされ、銀杏を食べれば風邪を防げる、ものもらいができた際には温めた柄杓を当てるとよいといった、健康にまつわる言い伝えも伝わる。さらにタンバイロという悪病除けの行事に現れる獅子役に、瘡やできものを患う人が三度頭を嚙まれると平癒するという言い伝えも残る。
- 広まり方
- 1933年の『旅と伝説』所収、美根生「福岡県八女郡福島町地方」と、1981年の『民俗採訪 福岡県八女郡星野村』(国学院大学民俗学研究会)に記録がある。
- 地域
- 福岡県八女市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ