ぐじょうしのやまのかみのてんぐだおし
郡上市の山の神の天狗倒し
- どんな話か
- 郡上市には山の神にまつわる話が複数伝わり、天狗倒しや神隠し、度胸試しの怪異などが語られている。
- 細部
郡上市には山の神にまつわる話がいくつも伝わっている。山の神は顔が赤く鼻の高い姿をしているとされ、念仏を嫌う一方で、樹木を倒し葉を散らすような音を立てることがあるといい、これは天狗倒しと呼ばれている。山の神と天狗を同一の存在と考える人も多く、山の神は小さな子どもを山中に引き入れることがあるとも語られる。連れて行かれた子どもは、木を倒す術を早く覚えれば早く里へ帰されるが、なかなか覚えなければ三年ほども山にとどめ置かれるといい、その間は山の神みずから食べ物を調達して与えるため、空腹に苦しむことはないのだという。
大洞に住んでいたある人物は、23歳のとき大工仕事の帰りに夜遅く酒を飲んで帰る道中、秋葉様の祠のあたりで葉がすでに落ちきっているはずなのにサラサラと葉音がするのを聞き、さらに火葬場の森の方角に円柱状の大きな光が浮かぶのを目にした。家に着くと今度は壁をドーンと叩く音までしたため、翌朝父に尋ねたところ、それは山の神が度胸を試したのだろうと教えられたという。同じ人物は、自分の臆病な性格を鍛え直そうと24歳のとき親戚の空き家に一人で寝泊まりしたことがあり、雨の激しい晩に窓の下を何かがなでるような音がしたため友人のいたずらかと外に出てみたが誰もおらず、これもまた山の神による試練だったのだろうと考えたという。
さらに、90年ほど前にはトラタロウという人物が山に入ったまま3日3晩戻らず、村中総出で石油缶や鉦を叩きながら捜索したところ、高い木の枝に引っかかっているのが見つかったといい、これも山の神か天狗の仕業だろうと噂されたと伝えられている。
- 広まり方
- 1937年の『民族学研究』林魁一「美濃国郡上郡牛道村阿多岐の土俗」、1987年の『民俗採訪』岐阜県郡上郡高鷲村調査(国学院大学民俗学研究会)に記録がある。
- 地域
- 岐阜県郡上市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ