やまのいぬ
山の犬
国内
未確認生物
- どんな話か
- 塩を好み炭火を苦手とする山の犬に、出産の見舞いとして赤飯を届けたり、助けた恩に山鳥で応えたり、粗相を詫びて刀の下緒を与えたりと、恐ろしくもあり忠実でもあったという人と山の犬の関わりを語る複数の話。
- 細部
- 山の犬と人間との関わりを語る話は数多く、お産の見舞いに山の犬のもとへ出向いた話や、送り狼、迎い犬などと呼ばれる話からも、山の犬が人間にとって恐ろしい存在であると同時に、忠実な下僕や友のような存在でもあったことがうかがえる。山の犬は塩を好物とするため、夜に塩を持ち歩くときには、山の犬が苦手とするオキと呼ばれる真っ赤に燃えた炭を一緒に携えて歩いたのだという。かつて山にはたくさんの山犬が棲んでおり、ある年、岩の間で仔を産んだ山の犬を見かけた人がいた。その人の妻は近隣の人々と相談し、お産の見舞いとして赤飯を詰めた重箱を岩の間に置いておいた。のちに参拝を済ませてから重箱を受け取りに戻ってみると、中身はすっかり空になっており、風呂敷は元どおりにきちんと包み直されていたという。また、ある百姓が落とし穴に落ちていた身重の山の犬を見つけて助けてやったところ、山の犬はそのまま山のほうへ走り去っていったが、翌朝百姓が何気なく戸口を開けてみると、そこには見事な雄の山鳥が置かれていたのだという。さらに別の話では、山の犬とは知らずに石を投げつけてしまった人の後を、その山の犬がずっとついてきたことがあった。詫びを入れるといったんは姿を消したものの、家に着くと戸口のところに座っていたため、仕方なく太刀の下緒を与えたところ、山の犬はそれをくわえてようやく姿を消したという。山犬に刀の下緒を投げ与えると縁が切れるともいい、また山犬は剣術を好むため、刀を抜くと寄ってくるとも語られている。
- 広まり方
- 1935年の雑誌『設楽』に掲載された夏目義吉「山の犬の話」に記録されている。
- 地域
- 愛知県設楽町
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ