てんぐ
天狗
国内
未確認生物
- どんな話か
- 天狗は松の木に棲んで子供をさらったり神隠しを起こすが、塩鮪などの生臭い物を嫌うとも語られた。
- 細部
富山市山田地区には天狗にまつわる話が数多く伝わる。天狗は注連縄の張られた松の木を住みかとし、鮭を好んで食べるほか、子どもをさらうこともあるとされた。天狗は頭上に桝をかぶった姿をしているといい、迷子を捜す際に桝の底を打ち鳴らしながら歩けば、姿を隠した天狗が「頭が割れる」と苦しがって子どもの居場所を教えるとされた。子どもの懐に塩鮪を忍ばせておくと神隠しを避けられるといい、深夜に松の下を通りかかったとき笑い声を浴びせられることがあり、うろたえて逃げ出せば一、二町どころか二、三十町も先まで投げ飛ばされてしまうが、じっと堪えていれば難を逃れられるとされた。
大正六年には農家の嫁が実際に姿を消し、村中で二晩探し回った末、三日目の朝にようやく見つかったという事件も記録されている。天狗は生臭い物を嫌うといい、稲刈りや草刈りの折には天狗が鎌を隠すいたずらをすることがあり、「今朝切った塩鮪はどこへ行ったろうか」ととぼけて言えばすぐに見つかるとされた。鳶は天狗の使いとされ粗末に扱うと咎めを受けるといい、鴨を狙う網場には天狗が鴨に姿を変えて現れることがあり、松のこずえで三味線をかき鳴らしたり歌をうたったりして猟の邪魔をした。しかし朝方には仲間を呼ぶように親しげな声をかけてくることもあり、お神酒を供えて祀ると、次第に鳴りをひそめたという。
- 広まり方
- 1926年の『民族』所収、築地梼衣「神隠しの事例」や、1928年の同誌に載る高崎正秀「天狗の話」、1973年の『富山県史 民俗編』所収、石原与作の執筆による第二章「網猟」などに記録が分散している。
- 地域
- 富山県富山市
- 年代
- 大正時代
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ