てんぐ
天狗
国内
未確認生物
- どんな話か
- 沼田の迦葉山には、寺の小僧に化けて奇行を見せたり日露戦争に加勢したりした天狗にまつわる話が数多く伝わる。
- 細部
- 沼田市の龍華院弥勒寺、すなわち迦葉山にまつわる天狗の話は数多く残っている。この寺には人一倍利発な小僧がいたが、当時の住職は信州から取り寄せた酒を好み、たしなんでいたという。あるとき小僧に用足しを言いつけると、決まってその日のうちに帰ってくるのだった。初めは気にも留めなかったものの、あまりに度重なるうえに腑に落ちない振る舞いが増えていき、ついにこの小僧の正体は天狗の化身だったと知れたのだという。小僧に化けた天狗が沼田までの使いをわずか30分で済ませていたともいい、ある朝、和尚から『今日できの豆腐を買ってこい』と言いつけられた小僧が、その日に限って夕方まで戻らなかったことがあった。待たされた和尚が理由を尋ねると、小僧は『今日(きょう)できの豆腐と言われたので、京(きょう)まで買いに行ってきました』と、同音の言葉をわざと取り違えたような返事をしたという。また、十五夜の晩には「良いことをして見せる」と言い残し、すすきの葉の上を渡るように歩いて白い馬に乗り去っていったともいう。以来、迦葉山では天狗を祀るようになり、今も交通安全の面守りとして天狗面のお守りが授けられている。日露戦争のころには、鍛冶屋が小僧に頼まれてこしらえた大きな鉄棒を迦葉山へ奉納すると、ロシアのある方角へ長くたなびく雲が現れ、その中に棒の姿は見えなくなった。戦争が終わるのと時を同じくして戻ってきたとも語られる。弘法大師が霊場を開こうと千の谷を探し歩いた際には、天狗が己の遊び場を惜しんで一つの谷を隠してしまい、それを知った大師がそこで山の頂から袈裟を丸めるようにして投げ捨てたところ、その落ちた先が袈裟丸山になったという由来話も伝わっている。
- 広まり方
- 1935年の『旅と伝説』掲載、岩崎安重「群馬県の伝説による玩具」、1966年の『上毛民俗』掲載、上野勇「利根の妖恠・幽霊」、1982年刊『群馬県史 資料編26 民俗2』および『資料編27 民俗3』(井田安雄・根岸謙之介)に、それぞれの逸話が記録されている。
- 地域
- 群馬県沼田市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ