たぬき
狸
国内
未確認生物
- どんな話か
- 吉野川市各地には人を化かし木を切る音で驚かせる狸の話が伝わり、老いた狸を祀る場所もある。
- 細部
- 吉野川市には狸にまつわる話がいくつも伝わっている。麻植郡中枝村(現吉野川市)の別枝山付近を通りかかると、狸が化けた美しい女性によく出くわすといい、それと知らずに手を引いて歩いていると、いつの間にか手が入れ替わっており、気づけば近くの木の枝を握らされて一心不乱にそれを引っ張らされているのだという。別の場所では、洞窟に棲む老いた狸が病人の平癒を助けるとされ、村人が病気になるとそこへ参って全快を祈願し、今でもおしめを供えて祀り続けているという。蔭渕の底にも古くから棲む狸がいて、夜になると赤ん坊のような泣き声を上げ、人がその場に近づくと泣きやんで淵の底へ引きずり込んでしまうと恐れられている。山中には多くの狸が棲みつき、夜中に木を切るのこぎりの音をわざと立てたり、自ら木に登って草むらに飛び降り、大木が倒れたかのような音を響かせたりして人をだますという。ある夜、火事になった養子先の親元へ急ぐ途中で狸の出る山道を歩いた人の話も残っており、提灯の蝋燭をまたたく間に奪われ、堂にこもって火を焚いていても狸が近所の女性の声や笑い声をまねてだましにかかり、杖が滑って先へ進めなくなったという。
- 広まり方
- 『民族と歴史』1922年掲載の後藤捷一「阿波に於ける狸傳説十八則―附「外道」について―」、『阿波民俗』1951年掲載の金澤治「麻植郡川田町に於ける伝説(一)」、『四国民俗』1987年掲載の石崎敬子「一宇村の昔話と村話」に記録されている。
- 地域
- 徳島県吉野川市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ