たぬき
狸
国内
未確認生物
- どんな話か
- 徳島市には狸が人に取り憑いたり化けたりする話が数多く伝わり、憑き物落としの体験談も残る。
- 細部
- 徳島市には狸をめぐる話が数多く伝わっている。「ええじゃないか」の熱狂の際には狸が人に取り憑いて不思議な行動をさせたといい、明治十年ごろには美しい娘に狸が魅入り、美少年に化けて通うようになった話も残る。娘は家族にも紹介しようとしたが、他の者には姿が見えず、契りを交わす際には浅黄色の泡を吐いたという。父親が刀で切り払おうとしても手ごたえがなく、祈祷も効かないまま、やがて娘は狸の子を産んだと噂されたが、その子を実際に見た者はいなかった。ほかにも、小僧に化けた狸が通行人におぶってくれと頼み、負ぶった者が力任せに投げ飛ばすと石塔が真っ二つに折れていたという話や、天正寺の霊験あらたかなおみくじが庚申新八という狸の力によるものだとする由来譚も伝わる。この新八は火術指南役の流れ弾で仲間を殺されたことを恨み、女や老婆に化けた子分を使って人をだましたとも語られる。寺町や大谷、富田大道にはそれぞれ狸合戦にゆかりのある女狸や大将狸を祀る小祠があり、決まった時刻には太鼓を打たない習わしも残る。四十を過ぎた女性が狸に憑かれ聖天堂に籠ると治るが出るとまた憑くという例や、供え物を巡って狸を怒らせ命を落とした男の話、赤飯の土産を持ち帰る途中で憑かれ口をきかなくなり、医師の電気ショックで正気に戻ったという話も記録されている。
- 広まり方
- 『郷土趣味』1921・1922年掲載の長尾楓窓の一連の記事、『民族と歴史』1922年掲載の後藤捷一「阿波に於ける狸傳説十八則」、『旅と伝説』1938年掲載の山口吉一「阿波狸憑私見」、『四国民俗』1985年掲載の森本嘉訓「徳島の憑きもの」に記録されている。
- 地域
- 徳島県徳島市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ