たぬき
狸
国内
未確認生物
- どんな話か
- 化けて人のように歩く狸や、道に迷わせる悪戯、薪伐りや地づき唄の空音、罠にかかった狸を助けたお礼の怪音、山小屋での太鼓や呼び声など、狸にまつわる数々の悪戯話。
- 細部
- ある人が目の前に姿を見せた狸をじっと観察していると、狸は自分の体じゅうに植物の葉をびっしりと貼りつけ、最後に頭の上へ一枚の葉を乗せると、ヨタヨタとした足取りで歩き去っていった。その姿はまるで、身なりを整えた女がしずしずと歩くかのようであったという。また、祝言の帰りに菓子箱をぶら下げて歩いていた人が、日が暮れて真っ暗になったとたん、何度歩き直しても道を間違えてしまうということがあった。仕方なくその場に座り込んで菓子を食べ、道を間違えても構わないという覚悟で改めて歩き出すと、今度はいつもの見慣れた道になったのだという。ほっと安心した途端、目の前を真っ黒な何かがずしんと音を立てて走り去っていった。ほかにも、薪を伐りに山へ入った人が、すぐ上の方でも同じように薪を伐る音を耳にしたが、呼びかけても返事はなく、そんなことが何度も続くので気味悪くなって家に帰ったという話もある。トラバサミに大きな狸がかかっているのを見つけて弱っていたので家に連れ帰り、箱の中で飼って体力を回復させてやったところ、それから「オーイ」と呼ぶ声や太鼓の音が聞こえるようになり、箱の中を覗くとぴたりと音がやみ、しばらくするとまた聞こえてくるということが繰り返されたという。狸を捕りに出かけて日が暮れ、山小屋に泊まった人は、太鼓の音と豆売りの唄の節を耳にしながら眠り込み、翌朝小屋を出てみると辺り一面に狸の足跡が残っていたため、あの太鼓は狸の仕業だったのかと大笑いしたという。木を切っていると地づき唄が聞こえてきて、手を止めると聞こえなくなり、また切り出すと聞こえてくるということが続いたが、狸の仕業と気づいたとたんにその唄はぴたりと止んでしまったという話や、炭焼きの仕事中に小屋で「ホイホイ」と呼ぶ声を耳にし、呼び返しても返事がなく、仕事を続けるとまた声がしたが、これも狸の仕業だと気づいた途端に聞こえなくなったという話も伝えられている。
- 広まり方
- 1932年および1935年の雑誌『設楽』に掲載された片桐勇太郎「狸の話」、岡田松三郎「狸に誑された話」に記録されている。
- 地域
- 愛知県設楽町
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ