ふじよしだのなきこをおうはは
富士吉田の亡き子を追う母
国内
儀式・遊び
- どんな話か
- 水死した末の弟の遺体が温かいままだったことに動揺した母親は、亡骸を捜し墓を掘り、やがて世を去った。
- 細部
富士吉田に伝わるこの話では、ある家の末の弟が水の事故で命を落とした。不思議なことに遺体はいつまでも冷たくならず、暖かみを保ったままだったため、母親はどうしても息子を土に埋めることを承知しなかったという。それでも葬式は執り行われたが、その晩、母親の姿が急に見えなくなり、家族が捜し回ると、墓場で素手のまま土を掘り返している母親が見つかった。その後もある日また姿を消し、今度は浜辺で発見された。
母親は「死んだ息子が波の上に立っている」と言い張って聞かず、周囲がどう説得してもその言葉を曲げなかった。そしてそれからほどなくして、母親自身も亡くなってしまったという。子を亡くした親の悲しみが、亡骸への執着や幻視という形で語り継がれた話である。
- 広まり方
- 1944年の『民間伝承』に坂本敏雄が寄せた「魂の行衛」に記録されている。
- 地域
- 山梨県富士吉田市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ