おおすぎのせいれい
大杉の精霊
国内
未確認生物
- どんな話か
- 娘に通った武士の正体が大杉の精霊で、藩主の材木探しに絡む顛末を伝える福島の話。
- 細部
笹木野の里に住む長者の娘のもとへ、毎晩ひそかに通ってくる武士がいた。ある夜、武士は悲しげな様子で「今夜限り」と告げたので、娘は男のはかまの裾に長い糸を縫いつけておいた。翌朝、人を頼んで糸をたどらせると、近くの大杉の枝に糸がかかっていることがわかった。神おろしをして尋ねると、この武士の正体は大杉の精霊であったという。この武士が今夜限りだと口にした理由は、福島藩主の板倉公がおのれの居室に用いる一本の材木を探し求めた結果、笹木野にあったこの大杉に白羽の矢を立てたからであった。
大勢の人夫が苦心して切り出したものの、動かそうとしても翌日には元の場所に戻ってしまう。古老が「精霊が通っていた女に音頭を取らせるとよい」と告げたとおりにすると、たちまち運び出すことができたという。大杉は板倉公の居室に使われ、余った材木は大仏や耳語橋にも用いられ、耳語橋が夜中にささやくように音を立てるのはこのためだと伝えられている。
- 広まり方
- 1967年刊行『福島県史 24 民俗2』、和田文夫による樹木に関する伝説の項に載る。
- 地域
- 福島県福島市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ