さどしのとんちぼばかしとかみまつり
佐渡市のトンチボ化かしと神祀り
- どんな話か
- 佐渡各地でムジナ(トンチボ)は人を化かす一方、神として願いも叶えるとされ、多様な話が伝わる。
- 細部
佐渡ではムジナはトンチボとも呼ばれ、人を化かす存在であると同時に、神として祀られ願いを聞き届ける存在でもあったという。炭焼き小屋に泊まっていた爺さんのもとへ女が訪ねてきて火にあたらせてくれと頼んだが、炭火をかけると正体を現して逃げ出したという話や、山仕事の帰りに見覚えのない家に上がり込み、囲炉裏で栗を煮て猫までいる暮らしぶりを見せられ、キセルの火がつかないことでようやく化かされていたと気づき、火打石を打った途端に家が消えて裸で水たまりのそばに座っていた、という話が語られている。
ムジナは人の背中に取りついて後ろ姿を見せる癖があるため、棒で背後を叩いたり、左の袖の下から後ろをのぞいたりすれば正体が見えるとも言われた。一方でムジナは、善悪よりも供え物の多さで動く「バカ」な神でもあるとされ、継母が自分の連れ子を跡継ぎにしようとムジナのヤマノカミに大量の供物を捧げて祈ったところ、当の男は隣村からの帰りに川で命を落とし、蹴落とされたのだろうと噂された。
酒屋の後妻が家の守り神である石倉さんに祈って当主にたたりをなした話も伝わる。反面、算数もろくにできない息子がラジオ屋になりたいと言い出し、石倉大明神へ一年七か月の願がかけられたところ、ある晩枕元にでっぷりと太った女の姿が現れ、まもなく息子は一人前になった。お礼のためカミオロシを行うと、石倉さんは便所と電気と井戸が欲しいと望んだといい、井戸をどこに掘るべきか思案していると感じ取れる場所があり、そこを掘り当てると大蛇の骨が出てきたという。
以来イシクラさんの水は難病さえ治すと信じられるようになった。海潮寺に祀られたムジナは桜姫と呼ばれ、夜道を照らして住職を導いたり、傾いた本堂を元通りにしたりする恩恵をもたらしたという。相川の二ツ岩に棲む親分格の団三郎ムジナは、酔って夜道に迷った奉行所の役人に提灯を差し出して助け、その代わりに自分を神としてあがめさせ、役人は職を辞して神主になったとも伝わる。
- 広まり方
- 1975年刊の『季刊民話』、1994年・1995年刊の『民族学研究』所収、梅屋潔の調査、および1984年刊『新潟県史 資料編23 民俗2』所収、森谷周野・浜口嘉寿夫の記録に基づく。
- 地域
- 新潟県佐渡市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ