きつね
狐
国内
未確認生物
- どんな話か
- 提灯の火を増やす夜釣りの怪異や商家に憑いて富をもたらす狐など、化かしと憑依にまつわる9つの言い伝え。
- 細部
- およそ50年ほど前のこと、夜釣りに出かけた年寄りが、川の向こうに提灯の火が一つ灯るのを見て、狐のしわざだろうと思っていると、急に寒気が走り、火の数がどんどん増えていった。狐は火を嫌うと聞いていたので、煙草をふかしながら家路につき、家に入るときも狐に取り憑かれないよう、体の向きを変えてから足を踏み入れたという。翌日、別の連れと共に再び釣りに出かけたところ、また火が灯って連れが寒がりだしたが、二人で近づいていくと、狐のほうが根負けしたように、火をひとつずつ消していったのだという。狸は坊主の姿に、狐は女性の姿に化けるとも語られている。狐に取り憑かれた家の主人は、しきりに袖や肩を払う仕草をするようになり、取り憑かれたまま亡くなった人の体には穴が開いているとも言われる。ある老婆は狐に憑かれて寝込み、いくらでも食べては訳の分からないことを口走っていたが、十里以上離れた妹の様子を言い当てて驚かせたこともあったという。商売をしている家に狐が取り憑くと、買い物では秤のおもりに狐がのって目方を軽く見せかけ、逆に売るときは品にのしかかって重く見せかけるのだという。そうした店でタマリや米を買うと、その場では重く感じても、家に持ち帰るころには軽くなっているとされ、狐が憑いた商家はそれで儲かるのだと語られている。同様に、蚕の繭を量る籠に狐が乗って重くする農家もあるとされた。狐を飼っていると噂される家では、姿はよそ者には見えないものの、狐が囲炉裏のそばに座り込んでいるとされる。その家の財産は狐が稼ぎ出したものだといわれ、何かを売り買いする際には必ず狐がついて回るという。家の中で体の弱い者がいると、狐が乗り移って言葉を発させることもあるとされ、さらにこの家から嫁をもらうと、その狐まで一緒についてくるのだと語られている。狐が増えすぎて困った家では、御嶽講の行者に頼んで壺の中の子狐たちを拝み込み、山へ持っていって埋めてもらったという例もある。
- 広まり方
- 1943年の『民間伝承』掲載の石の仏様、其他(愛知県岩倉町)、および1975年の民俗採訪『愛知県西加茂郡小原村』(國學院大學民俗学研究会)に記録がある。
- 地域
- 愛知県豊田市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ