かくだのよみちでさかなをうばうきつね
角田の夜道で魚を奪う狐
国内
未確認生物
- どんな話か
- 角田の若侍が竹刀に結んだ魚を化かされて奪われたほか、酔客や老婆も狐に化かされて品物を奪われたという三つの話。
- 細部
藩政時代、角田館主石川家に仕える若侍たちの間では、城下での稽古の帰りに魚などを持っていると狐にだまされやすいという噂があった。あるとき若侍たちは、竹刀の先に魚をくくりつけて夜道を無事に帰れるかどうか賭けをすることになり、引き受けた一人がその夜更けに出向いていった。おぼろに月の照る並木道の途中で、竹刀を肩にかけた武芸者ふうの大男と行き合い、すれ違いざま、いきなり打ち込まれたので思わず受け止めたところ、大男の姿はふっと消え失せ、気がつけば竹刀の先に結んでいたはずの魚も跡形もなくなっていたという。
時代が下って明治の中頃には、北郷の男が大河原で魚を買って酒に酔いながら帰る途中、洞門近くの杉山で身の丈一丈六尺もあろうかという大男に背後から羽交い締めにされる出来事があった。柔術の心得があった男はこれを投げ飛ばして麓の茶屋まで逃げ込み事の次第を語ったが、茶屋の老爺に何か生臭い物を持っていなかったかと問われて調べると、魚をくるんで首に結んでいたはずの風呂敷ごと消えていた。
投げ飛ばした相手は自分の荷物にすぎず、まんまと狐にだまされていたのである。もう一つ、神次郎部落のある老婆が親戚の祭りの振る舞いに出かけたまま夜更けになっても戻らず、心配した家族が未明に探しに出ると、裾をたくし上げて川を渡るような格好で、深い深いと繰り返しながら山の蕎麦畑をさまよい歩いていたという話も伝わる。大声で呼ばれてようやく我に返ったが、手土産の重箱はすっかり狐に奪われていたそうである。
- 広まり方
- 1956年刊『宮城縣史 民俗3』の妖怪変化・幽霊の事例篇に3話とも記録がある。
- 地域
- 宮城県角田市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ