きつね
狐
国内
未確認生物
- どんな話か
- 藤井寺市津堂には人を化かし嫁入り道具を奪う狐の話が数多く伝わり、タバコや名を呼ぶことが除け方とされた。
- 細部
- 藤井寺市の津堂に伝わる狐の話は数多い。土臼をひいていた時代には堤防によく狐が出たといい、一津屋からの帰り道に狐に憑かれ、池でジャコを捕る真似をしていた者もあったという。昭和二十八年ごろまでは、キタンジョのあたりを鳴きながら通る狐がいて、棟上げの帰りに自転車の荷台に積んでいた物をそっくり奪われたこともあった。タバコを吸っていれば狐にだまされずに済むとも言われ、秋の婚礼の時期には、川を渡っていた者が「オイの方へ」「オイの方へ」と繰り返し呼びかけられるようにして引き込まれ、名を呼ばれるまで気づかなかったという話や、嫁入り道具を狐に奪われるときには縁起の良い「ヨ」の付く品を持たせて渡すのだという言い習わしも残る。化かされている間は暗闇でも相手の顔がはっきり見えるといい、大正橋のたもとに出る狐は美しい女の姿をしていたとも語られる。ご馳走を奪われるのは、嫁入りの帰りに村の入り口へ寄らずまっすぐ進んでしまったときに多いといい、化かされた者が石碑を相手に相撲を取ったり、片方だけ鼻緒のはき物で風呂に下駄のまま入ったりすることもあった。道の真ん中に立つ狐に「どけ」と言うと「へえ」と答えたが、雨も降っていないのに流れが水でいっぱいになっており、渡ってから「ドギツネ、だましよったな」と思うとやはり濡れてはいなかったという話もある。お宮の供物を狙う狐を見張っていた男の前には嫁の姿をした狐が現れ、帰るよう言葉巧みに誘い、暗いのに顔がはっきり見えることから男は化かされていると見抜いて耳を貸さずにいたが、ついには褒美をやると言われて心を許してしまい、遊郭でもてなしを受けたつもりが翌朝には肥だめの中におり、供物も奪われていたという。また、八尾の太田から土臼ひきの手伝いに来ていた者が、夜中の二時ごろ仕事を終えて帰る道すがら、堤のあたりできれいな女の姿を見たとも伝えられている。
- 広まり方
- 1984年の『御影史学論集』所収、田中久夫「大阪府藤井寺市,津堂の年中行事」に記録がある。
- 地域
- 大阪府藤井寺市
- 年代
- 昭和
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ