やつしろのかっぱよけとおんがえし
八代の河童除けと恩返し
- どんな話か
- 鉄物や呪具で河童を遠ざける禁忌から、恩返しや悪戯の説話まで、八代市内に伝わる河童にまつわる話の数々。
- 細部
八代市内には河童にまつわる話が数多く伝わっている。まず魔よけの知恵として、池を新しく掘るときはその底に鉄製の道具を沈めておくと河童が住みつかなくなるとされ、逆に水死人を捜す際には竿の先に鎌をくくりつけて探すとすぐに見つかると言われている。日奈久町では、漁師が河童にいたずらされないよう、網のおもりに必ず一つは鉄の分銅を混ぜておく習わしがあったという。同じく日奈久町では、六月一日に作るコールサンという名のあられを河童が嫌うとも語られ、生まれの干支と日時が申年申の日申の刻にあたる人を河童は苦手にするとも伝わる。
坂本町には、イシダタミと呼ばれる結び方で牛や馬をつないでおけば河童に引き込まれないという言い伝えも残る。目撃譚としては、八代のあたりで河童らしきものを見たという話が記録されているほか、船に乗せた猿に芸を仕込んでいた際、猿が急におびえだし、海面に泡が立ったところを棹で突いて追い払ったのに船を追いかけてきたという話もある。相撲を挑む話も多く、河童から挑む場合は繰り返し挑戦してくることが多く、人から河童に挑む場合は力を得るために挑むことが多いといい、河童の頭の皿に水がたまっているときは力が強くなるため、勝負の前にお辞儀をさせて水をこぼさせるとよいとされる。
説話としては、見知らぬ男から託された手紙が実は河童のもので、中身を宝物を与えるようにと書き換えて河口で船を出して待っていたところ、河童が魚を投げ入れてくれ、それを売って裕福になったという者の話が伝わる。また、妙見町の寺の和尚が夜中に用を足していたところ河童にいたずらをされて立腹し、その腕をもぎ取ってしまったところ、河童が毎晩のように腕を返してほしいと訴えに来たため哀れんで返してやると、以後その川では子供の水難事故が起きなくなったという話がある。これと似た話では、腕を取られた河童が美女に化けて腕を乞いに来て、返してもらう代わりに定められた淵のあいだでは子供にいたずらをせず溺れさせもしないと約束させられたとも語られている。
- 広まり方
- 大半は1985年の『季刊人類学』所収、奥野広隆「山にのぼる河童」に記録されており、ほかに1975年の『あしなか』(石川純一郎)、1973年の『近畿民俗』(若尾五雄)、1928年の『旅と伝説』(中田千畝)、1994年の『西郊民俗』(奥野広隆)にも関連の記録がある。
- 地域
- 熊本県八代市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ