じんがもりのろうえん
陣ヶ森の老猿
国内
未確認生物
- どんな話か
- 鉄砲名人の沢口覚左衛門が陣ヶ森で笛を吹くと巨大な狒々のような怪物が現れ、以来誰も入らぬ山になったという。
- 細部
只野伊賀の末弟にあたる沢口覚左衛門は鉄砲の名人として知られた侍であった。文化三年(1806年)九月の初め、切込村の百姓源吉の家に宿をとり、そこから三里ほど山奥に入った陣ヶ森へ猟に出かけたという。小雨の降るなか真夜中を過ぎたころに森へたどり着き、鹿をおびき寄せるためのオキ笛を吹いてみると、どこからかケタケタと女の笑うような声がした。鹿はその声に驚いて逃げてしまったが、もう一度笛を吹くと、こんどは巨大な狒々のような獣が現れて踊り狂うので、鉄砲を放った。
その拍子に武士の命とも言うべき鉄砲を取り落としてしまい、怪しい獣の姿も見失ってしまったが、正八幡と摩利支天に声を上げて祈願したところ、鉄砲だけは何とか取り戻すことができた。源吉の家に戻ってから湯を沸かさせて身を清め、神々に感謝を捧げたのち一部始終を語り、獣の死骸を探しに行こうと持ちかけると、居合わせた誰もが尻込みしてしまった。その一帯は「四日切」と呼ばれ、古くから種々の怪異や禍が起こる魔の山沢として知られ、誰も踏み入らない山とされていたためである。結局死骸は見つからず、その後この山に入る者はいなくなったという。
- 広まり方
- 『宮城縣史 民俗3』(1956年)の妖怪変化・幽霊の事例篇に記録されている。
- 地域
- 宮城県加美町
- 年代
- 江戸時代
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ