はぎのほしがるものをくさらすいぬがみ
萩の欲しがる物を腐らす犬神
国内
呪物・呪い
- どんな話か
- 犬神を飼う家は「神さん」と呼ばれ、その者が欲しがった食べ物は腐るといい、人に憑くと祈祷で祓われた。
- 細部
この土地で犬神を飼うとされる家は「神さん」と呼び習わされ、あの家には神さんが住み着いているのだと噂されることがあった。神さんの家の誰かがほしいと目をつけただけで、その食べ物は腐ってしまうといわれる。昔、学校で誰かの弁当箱の中身が腐っていた出来事があり、それは同級生である神さんの家の子供が羨んだからだろうと囁かれた。新酒が仕込めた際、酒屋がまっさきに神さんの家へ一本届けて供えるのも、店の酒を腐らされないための用心だという。
犬神という存在そのものは、鼠に似た小さな獣がおよそ75匹も一つの家に住みついたものだとされる。菓子や餅など甘い物を扱う場所のそばを通ったり、その家を訪ねたりした人が獣たちに何も分けてやらないと、以後ずっと取り憑かれて食べ物がまともに口にできなくなってしまう。できあがった餅の水気が多すぎて糊のようになってしまったときには、この土地で「犬神つきの餅のような」という言い方をすることがあったという。
犬神は人間にも取り憑くとされ、その様子は狐憑きとよく似ている。取り憑かれた人物は犬神の家の者のような話しぶりになり、いろいろなことを口にするようになるという。祈祷によって霊が抜けていく瞬間には、四つ足の獣のように跳ねる仕草を見せて倒れ込み、そこでようやく本来の自分に戻るのだと伝えられている。
- 広まり方
- 1922年の『民族と歴史』所収、S「山陰西部地方の犬神に関する報告五則」と、2002年の『山口県史資料編民俗1民俗誌再考』所収、瀬川清子「島と海の民俗:見島見聞」に記録がある。
- 地域
- 山口県萩市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ