いぬがみ
犬神
国内
呪物・呪い
- どんな話か
- 犬神筋の家は魂の数だけ小犬を飼うとされ、憑かれると異常行動が出て祈祷で祓われたという伝承群。
- 細部
- 犬神を持つ家筋は、その家の魂の性質に応じた数の小さな犬を飼っているといい、犬神に噛まれて死んだ者の体には、痛がっていた箇所に犬の歯型が残るとされる。ある男が鋸で作業をしていたとき犬神持ちの人に声をかけられ、その後鋸の切れ味が落ちて仕事がはかどらなくなったが、犬神が憑いたのだと考えて鋸を火にくべると元どおりになったという。急に泣き出して情緒が不安定になった老女を脅すと、犬のように犬神持ちの家のほうへ走り去り、倒れて介抱されたのちも自分が何をしたか覚えていなかった例もある。犬神憑きを祓う祈祷の最中に、顔は人間で尾は犬という姿の犬神が現れ、しゃくで打つと消え去り、後日犬神持ちの家の者が亡くなると憑き物は治まったという話も伝わる。ふだんは物腰の柔らかい犬神持ちの人が時折人に取り憑くこともあり、その家の裏手の祠には小さな犬の子が飼われていたという。ある犬神憑きの女性はたんすの中にひそかに小犬を飼っていたが、それを見つけた女中が熱湯をかけて殺すと、女性は立ちくらみを起こして倒れてしまった。また、老婆に犬神筋の男性の犬神が取り憑いた際には、老婆が男性本人の声でその由来を語り出し、近くの祈祷師に拝んでもらってようやく犬神を落とすことができたという。
- 広まり方
- 1951年の『阿波民俗』所収、田村文男「新野町の犬神」「犬神に関する聞き書」(古川勝美)のほか、1985年の『四国民俗』所収、森本嘉訓「徳島の憑きもの」に記録がある。
- 地域
- 徳島県阿南市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ