ひしぬまのおうじょうじ
菱沼の往生寺
国内
呪物・呪い
- どんな話か
- 旅僧を泊めて牛に変えようとした欲深い男が自ら牛になり、旅僧の正体金光上人の力で人に戻って弟子となり、往生寺を開いたという。
- 細部
欲深いある男が、小牛田に伝わる牛飼長者の噂を耳にし、旅の僧を泊めてやれば牛に姿を変えてくれて自分も長者になれるはずだと思い込んでいた。ちょうどそこへ托鉢に訪れた一人の旅僧があったので、男は強引にこれを引き止めて泊まらせ、来る日も来る日も部屋をのぞいては、僧が牛に変わる瞬間を待ち構えていた。ところがある朝、家じゅうが泣き叫ぶ声で騒がしくなり、僧が駆けつけてみると、牛に姿を変えていたのはほかならぬ男自身であった。
じつはこの旅僧こそ、法然上人の高弟として知られる金光上人であった。上人が都へ戻ってこの出来事を師に話したところ、「近くまで出向いて説いてやれば人の姿に戻すことができるが、年老いた身で陸奥まで下るのは難しい。ならばわしの木像を刻んで持たせるので、それを前に代わって説法するがよい」と命じられる。金光上人が言われたとおり木像を背負って栗駒へ戻り、その像の前で説法を行うと、男の額に生じていた角がぽろりと落ちて、もとの人間の姿に戻ることができた。この男はのちに金光上人の弟子となり、自らの屋敷を寄進して寺を開かせたのが、往生寺のはじまりだという。
- 広まり方
- 1956年刊『宮城縣史 民俗3』伝説・祠堂の部に記録がある。
- 地域
- 宮城県栗原市
- 年代
- 鎌倉時代
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ