わかさちょうのおろちのこたくし
若狭町の大蛇の子託し
国内
呪物・呪い
- どんな話か
- 大蛇に化けた女が寺大工との子を託して姿を消した伝説や、弁天様の祠や使いにまつわる蛇の怪異が伝わる。
- 細部
若狭町には蛇にまつわる話がいくつも伝わる。海山の寺を普請していたころ、大工と通じた一人の女中が子を身ごもった。女は出産のあとを決してのぞかないでほしいと頼んだが、大工が約束を破って中をうかがうと、そこにいたのは人ではなく一匹の大蛇であった。驚いた大工は逃げ出し、残された女は自分の子を大工の仲間に託し、乳の代わりにと自らの両目を与えたという。本当は寺大工とともに添い遂げて成仏したかったがそれは叶わず、女は、前世の罪が消えたあかつきには寺にある椎の木に実がなるはずだから見届けてほしいと言い置いて姿を消した。
その椎はどれだけ花をつけても実を結ぶことはなかったが、昭和30年ごろになってようやく実がなり、村人たちは大蛇となった女がついに成仏を遂げたのだと噂した。弁天様の祠の土台が崩れかけたときには、石工が積み直しの石を動かすたびに下から蛇が現れ、そのつど作業を中断せざるを得なかった。困った石工が弁天様に石を積み直す事情を丁重に申し上げたところ、その後は何の問題も起こらなくなったという。
弁天様に仕える使いは蛇とされ、昭和初期には鳥辺島に生い茂るミノギを勝手に刈りに来た隣村の者が、島に上がった途端に見慣れたはずの草むらが消え、無数の小蛇がうごめいているのに気づき、たまらず一目散に村へ逃げ帰ったとも伝えられている。
- 広まり方
- 1959年の『民俗採訪』所収、國學院大學民俗学研究会による三方郡三方町旧西田村(現・若狭町)の調査記録に、いずれも記録されている。
- 地域
- 福井県若狭町
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ