はやまのかみつけ
葉山の神つけ
- どんな話か
- 白衣に鉢巻き姿ののりわらに葉山の分霊をうつして託宣を聞き、火渡りで無病を祈る飯舘村の年中行事。
- 細部
旧暦10月8日前後になると、葉山の分霊を白衣を着て鉢巻きを締めたのりわらと呼ばれる人物にうつし、神つけという神事を行って翌年の豊作を祈願する。氏子たちが祈ると、のりわらが手にした幣がばさばさと激しく動き、神が乗り移ったことが知らされるという。神がのりうつり火をたけとの神託が下ると、戸外に青竹を四方に立ててしばを積み、そこに火を放つ。のりわらは幣束でその火をたたきながら渡っていき、これを「火をしめす」と呼ぶ。
のりわらに続いて人々もはだしで火の上を渡るが、すね毛が焼けてしまうことはあっても不思議と熱さは感じないといい、これを行うと一年病気をせずに過ごせると信じられていた。渡り終えるとのりわらは幣で火をたたいて鎮め、これを「火をかえす」というが、その後はうって変わって熱くて渡れなくなるという。世の中の作柄や疫病、火事のこと、続いて個人の相談ごとの順に託宣が続けられ、のりわらが急に幣を放り上げてうつぶせに倒れることを「神あがる」といい、人々は「さんげさんげろっこんしょうじょう」と声をそろえて唱えつつ拝みあげる。
塩水を飲ませて正気に戻し、少し休ませてはまた神をつけるということを、聞きたいことが尽きるまで繰り返した。行事の翌朝には供物を持って山のお宮に参り、料理を食べて精進あげをする。使い終えた幣束は馬屋の入り口にさしておくと、飼っている馬にけががないと言われている。ある年には、いつ何日に大水が出るという葉山の託宣が下ったが、当日は快晴だったため誰かがその外れを笑ったところ、午後になって急ににわか雨が降り出し、本当に大水になったという話も伝わっている。
- 広まり方
- 1964年刊『福島県史 第23巻 民俗1』所収、岩崎敏夫・和田文夫・山口弥一郎「相馬郡飯館村民俗誌」(三・葉山の信仰)に記録がある。
- 地域
- 福島県飯舘村
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ