くれのくろだいをとどけるえんこ
呉の黒鯛を届けるエンコ
国内
未確認生物
- どんな話か
- 馬鍬を除けてもらった礼に黒鯛を届けたエンコの話と、相撲を挑んだエンコが弁当の筍を見て逃げ出した話が伝わる。
- 細部
祖父母よりさらに十代ほど前という昔、田植えの時期に清水の流れで馬鍬を洗っていた人の前へ、坊主の姿をした者が近寄ってきて、しくしくと泣き始めた。わけを尋ねると、馬鍬が邪魔で川を渡れずに困っているという。何者かを見破ったその人は一計を案じ、村の衆を二度と川へ引きずり込まないと誓うなら、この馬鍬を退けてやろうと持ちかけると、相手はこの条件をのんだ。それからというもの、毎朝のように牛屋のカンノキへ大きな黒鯛がかけられるようになったが、柱に鎌を打ち込んでからは、その贈り物は途絶えたという。
以来、村人はエンコに尻を抜かれずに済んでいるとも語られる。もう一つの話では、田の石垣を積んでいた人の前にエンコが現れて相撲を挑んだ。負ければ尻を抜かれると恐れて必死に組み合ったが勝負がつかず、空腹のあまり休戦して弁当を広げると、おかずの筍を竹と見誤ったものか、そんな物を口にする人間にはかなわないとこぼして立ち去ったという。
- 広まり方
- 1980年の『広島民俗』に載る、原田三代治「上蒲刈島宮盛の河童の話」に、二つの話として記録されている。
- 地域
- 広島県呉市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ