だらし
ダラシ
国内
呪物・呪い
- どんな話か
- 島原半島の岩下越やノトンの坂に伝わる憑き物ダラシで、行き倒れた旅人の霊が憑いて動けなくさせるという。
- 細部
愛野村から島原へ通じる旧街道の岩下越や、千々石から島原へ抜ける平石越のノトンの坂周辺は、ダラシという憑き物が出る場所として恐れられていた。ある猟師はここでダラシに取りつかれて体の自由が利かなくなり、空腹で一歩も動けなくなったが、四つん這いの姿勢でどうにか進み、茶屋にたどり着いて蕎麦を食べて正気を取り戻したという。魚を商う者が同様に憑かれ、茶屋で冷や飯を振る舞われて助かった例も語られる。
また、笠をかぶった旅の僧がノトンの坂でうずくまっているのを見つけた者が、顔色の悪さに驚いて茶屋へ運び入れ、茶漬けを食べさせて介抱したところ息を吹き返したこともあった。ノトンの坂一帯は、その昔行き倒れて餓死した旅人、あるいは落ち武者の霊が土地に留まり、通行人に取りつくのだと伝えられている。あらかじめ握り飯を用意しておき、自分の分を食べたのち、残る一つを道端の藪へ投げ入れてから通れば、祟りを受けずに山越えができるという。
万一食べ物の持ち合わせがなければ、手のひらに指先で「米」の字を書いてこれを嘗めるだけでも効くとされた。この祟りの由来については、餓死した旅人の霊とする説のほか、近くの平石観音の下で首を吊った者たちの霊によるものだとする話も伝わっている。
- 広まり方
- 『土の鈴』1920年掲載、白倉土甲「ダラシのついた話其の一」、田中田士英「同其の二」および同「ダラシのついた話」、菊地寛晃「同其の三」に記録がある。
- 地域
- 長崎県雲仙市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ