いわきのだいじゃたいじとむすめさしだし
いわきの大蛇退治と娘差し出し
国内
未確認生物
- どんな話か
- 旱魃時に大蛇を退治した話や、淵の大蛇に娘を差し出して水難を逃れたという、いわき市に伝わる大蛇伝説群。
- 細部
いわき市には大蛇にまつわる話がいくつも伝わっている。ひどい日照りに見舞われたとき、水を引こうとした出口を一匹の大蛇がふさいでいたため、ひとりの若者が刀をくわえて水中に飛び込み、大蛇を切り伏せたという話がある。このとき飛び散った血を浴びた桜の木は、今も伐ると幹の中から血が出るのだと伝えられている。絹谷にあった貯水池でも、尾を突っ込んだ大蛇のせいで栓が抜けなくなったことがあり、潜りの名人として知られた金ヶ沢の勘太郎が依頼を受けて見事に仕留めた。
埋められた大蛇の上には桜が植えられ、その木は今なお残っているという。好間町には、淵の大蛇に家を洪水から守ってもらう代わりに娘を差し出す約束をした百姓の話も伝わる。娘は大蛇の嫁となり、下駄と鱗を一枚形見に残したとも、大蛇が僧の姿になって娘を迎えに来たとも語られる。詳しい伝えでは、川が二股に分かれた低い川原に建つ家が洪水のたびに流されていたため、母親が三人娘のうちひとりを淵の主に差し出してもよいとつぶやいたのが発端とされる。
以来水難は止み、姿を見ないでほしいという約束を破って正体の蛇を目にした家族に、娘は形見を残して去っていったという。もう一つの伝えでは差し出したのが二人目の娘とされ、父親が夢で見た織物を淵に供えると椀を借りられる霊験が語られるが、蓋を流してしまってからは効力を失ったとも伝わる。
- 広まり方
- 1936年の『旅と伝説』所収、高木誠一・岩崎敏夫「磐城の水の伝説」、1965年の『西郊民俗』所収、最上孝敬「海士の海女について」、1970年の『近畿民俗』所収、高谷重夫「竜女成仏譚」、1967年の『福島県史 24 民俗2』所収、和田文夫による橋に関する伝説の項など、複数の文献に分けて記録されている。
- 地域
- 福島県いわき市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ