はつかいちのすえはるかたのぼうれい
廿日市の陶晴賢の亡霊
国内
儀式・遊び
- どんな話か
- 夕暮れ以降に山道へ迷い込む者が後を絶たず、陶晴賢の亡霊やその家来の仕業だと村では語られてきた。
- 細部
島では夕方4時を過ぎると、あやかしに惑わされるといって、親は子どもをむやみに外へ出したがらなかった。かつて十七、八歳だった知人の一人も、見知らぬ者に「来い、来い」と誘われるまま弥山まで連れて行かれ、一晩じゅう行方が知れなくなったことがあるという。翌朝、本堂から本人が無事だと連絡があり、聞けば誘ってきた者が岩の下で横になった直後、そばの道を松明を掲げた行列が通り過ぎるのを見たのだそうだ。
道を歩いていて何者かに行く手を阻まれたときは逆らわず遠回りをするのがよいとされ、無理に押し通って家へ戻ると、滅ぼされた武将陶晴賢の家来にとり憑かれ、家から追い出されて倒れたのちも何年か腑抜け同然になってしまうと恐れられている。ほかにも、山へ木を伐りに行って原因不明のまま亡くなった者や、鎧姿の人影に出くわして放心状態になった女性の話も伝わり、いずれも陶晴賢とその配下の仕業とみなされてきた。山中で得体の知れない人影に出会っても慌てて苛立たず、いったん腰を下ろして「ちいらんご」ととなえてから下山すれば難を逃れられるともいう。
- 広まり方
- 1992年の『広島民俗』に掲載された栗原秀雄「『あやかし』―宮島町の口頭伝承から―」に記録がある。
- 地域
- 広島県廿日市市
- 年代
- 不明
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ