ゆうれいのしゅっさん
幽霊の出産
国内
人型の怪異
- どんな話か
- 娘を斬った侍が現れた亡霊と契り、亡霊は身重を告げて消え、後に墓から生まれたばかりの赤子が見つかったという。
- 細部
江戸時代、金山の領主中島伊勢に仕えていた四十九院弥五左衛門という侍は、隣家の娘から思いを寄せられ困り果てていた。ある春、斗蔵山の観音の祭礼の折に娘が改めて恋心を打ち明けたところ、弥五左衛門はかっとなってその場で娘を斬り捨ててしまう。ところがその後、毎晩のように娘の亡霊が現れては切なさを訴えるようになり、あまりの哀れさに弥五左衛門はいつしか亡霊と情を交わす仲になっていった。
ある夜、亡霊は身ごもったこと、生まれてくる子を育ててほしいことを涙ながらに頼んで姿を消した。一周忌を迎える頃、墓に参った弥五左衛門の耳に、地面の下から幼子の泣き声らしきものが届いた。不審に思って土を掘り起こしてみると、棺の内側でちょうど生まれ出たばかりと見える赤子が泣いており、弥五左衛門はこれを引き取って手厚く養い育てたという。この一件は藩主の耳にも入り、弥五左衛門は人を殺めた罪を問われるどころか、奇特な行いとして禄を賜った。その血筋は今も四十九院の姓を名乗っているという。
- 広まり方
- 1956年刊『宮城縣史 民俗3』の妖怪変化・幽霊の事例篇に記録がある。
- 地域
- 宮城県丸森町
- 年代
- 江戸時代
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ