しばいごやのかい
芝居小屋の怪
国内
人型の怪異
- どんな話か
- 昭和初期の芝居小屋で宿直が呻き声や燐火を見た怪異で、身寄りのない旅役者の霊を弔うと鎮まったという。
- 細部
昭和3年(1928)の秋、森徳座という芝居小屋で宿直をしていた者たちが次々に怪異に遭った。看板を書いていた若者の村上は、それまで暗かった舞台のあたりがぼんやり明るくなり、奈落のほうから呻くような音がしたかと思うと、青白い火の玉のようなものが揺らめきながら近づいてくるのを見て、恐ろしさのあまり別室へ逃げ込んだ。宿直の高橋庄七郎は皿の割れるような物音で目を覚まし、隙間から中をのぞくと舞台の片隅がほのかに光っており、白い霧のようなものが「藤娘」に似た娘の姿になって滑るように迫ってきたため、気を失ってしまった。
宿直の遠藤某は息苦しさで目を覚ますと外で草履を引きずるような足音がし、続いて舞台で大石を投げたような音や板がめり込むような音が響いたが、明かりをつけて確かめても何も見当たらなかった。この芝居小屋を任されていた座主森政雄の話では、明治33年(1900)ごろ、頼れる縁者を持たない旅役者の女形が結核を患って苦しみ、奈落で首をくくったのだという。人目を避けて共同墓地にひそかに葬っていたが、改めて墓を築いて手厚く弔い、お祓いをすませてからは、この小屋での怪異はやんだと伝わる。
- 広まり方
- 『宮城縣史 民俗3』(1956年)の妖怪変化・幽霊の事例篇に記録された話。
- 地域
- 宮城県仙台市
- 年代
- 昭和
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ