いいだのちかづきとおざかるきつねび
飯田の近づき遠ざかる狐火
国内
場所・異界
- どんな話か
- 川を隔てた対岸の丘などに灯りが連なって現れ、近づくかと思えば遠ざかるという怪火の伝え。
- 細部
- 出る場所はおおむね決まっており、名所と呼ばれる地点もあった。灯ったかと思えば消え、寄って来るように見えて離れていく。二晩続けて見え、しかも大勢が同時に目にしたときは、何か変事の前触れではないかと囁かれた。天竜川では漁の最中に見えたので対岸へ声を掛けると、そちらでも同じものが見えていたという。もっとも、その場所は後にダムの水底へ沈んで見られなくなった。川路と龍江のように川をはさんで向き合う土地では、こちらから見える灯は必ず向こう岸に灯り、狐自身は見ている側にいるのだと説かれた。宵の口に通りを幾つも連なって進む灯が藪で消え、何夜見ても藪から出てこない、という話もあり、大人は足下まで来た狐の仕業だとして、下駄で蹴り上げて追い払えと教えた。
- 広まり方
- 1957年の『伊那』所収、木下仙「狐火の季節」と、2003年の『伊那』所収、宮澤千章「火の玉と狐火」に記録がある。
- 地域
- 長野県飯田市
- 年代
- 昭和
- 検証状況
- 伝承由来
近代以前の民間伝承が下敷きになっている。 - タグ